知人が離婚をした。夫婦ともに知り合いだが、妻の方が住んでいた家を出ていき、実家に戻るということで引越しの手伝いに行った来た。思えばこの家に夫婦で越してくるときにも引越しの手伝いに来たなと違った意味で感慨深げな引っ越し作業だ。まさか、こういう形で荷物を運ぶとは思ってもいなかった。一寸先は闇、よくできたことわざだ
リフォームという言葉を耳にしたことがあるというひとは多いかと思います。しかし実際にリフォームをしたことがあると言うひとは少ないかもしれません。リフォームとは家を改築することです。建て替えるよりもコストを大幅に抑えることができます。近年では中古物件を購入してリフォームして住むという人も増えてきているようです。
会社にはさまざまな外部関係者が日常的に出入りしています。ビジネスパートナーやガードマン、清掃員など、「関係者だが従業員ではない人」がいます。本連載では、以前に悪意を持った人物によるリスクを解説しました。今回は経営者視点で取り組むべきポイントについて紹介します。
数年前に某中堅企業で事件が起きました。同社の警備員(A氏)はいつも笑顔で相手に接し、“やさしい初老のおじさん”という印象を与えるような人でした。女子社員にも人気があったようです。しかしその会社の役員室では、ある事件についての議論が秘密裡に行われていました。
CIO(情報担当役員) わが社の特許情報の非公開部分をライバル企業が入手していたというのは本当か!
技術部長 確認を取りました。まさしく当社の情報であることに間違いありません。入手経路は分かっていませんが、特許情報データベースにある社外秘情報のアクセス状況を過去1年に遡って調査していますので、間もなく結果が判明するはずです。
すると、技術部第一課長が汗だくになりながら入室し、次のように話しました。
第一課長 過去1年に4回の不審なアクセスの痕跡を発見しました。いずれも木曜日の深夜1時ごろに情報のコピーがされていました!
技術部長 なぜ今まで気が付かなかったのか。おかしいではないか!
技術部長が声を荒くしながら第一課長を叱責すると、
第一課長 それは無理ですよ。2年前の取締役会の決議で、CIOが“今まで行っていた定期的なログ分析は後ろ向きのイメージがするので好ましくない。しかも、そのために年間3000万円以上もの直接的な費用がかかっている。ログ分析を止めれば費用の削減にもなるし、廃止する(ログ収集だけは監督官庁からの指示もあり継続していた)”とお決めになったではありませんか……。
CIO ……。(無言)
その後ファイルをコピーしていたPCのフォレンジック調査を行ったところ、警備員のまとめ役であった警備会社の担当課長、つまりA氏が関与したとしか思えない証拠が見つかりました。いつも笑顔でいかにも人の良さそうなA氏がなぜ――関係者は一様に首を傾げざるを得ませんでした。
しかし、さまざまな状況証拠がありました。
1. 犯行が4回とも木曜日深夜に行われ、その日の宿直はいずれもA氏であった
2. 犯行時間の午前1時ころはガードマンの巡回時間に当たる
3. 巡回は通常2人で行うが、巡回日誌上ではこの4回に限って片方の1人がトイレや近隣のボヤ騒ぎなどの事件に対応しており、巡回をしたのは片方の1人だけだった
これらの証拠を積み重ねてみると、A氏が関与していたことに疑う余地はなかったのです。そこで会社は警備会社と密かに連絡をとり、両社の合意の上でA氏のPCをフォレンジック調査しました。すると、コピーしたと思われるファイルが発見されました。その後、A氏には相当の借金があり、2000万円にも膨れ上がっていたことが明らかになりました。
米国の一部会社では複数の警備会社を採用し、相互に牽制させることで犯罪を防ぐようにしていますが、日本でそのようにしている会社はほとんどありません。セキュリティの視点でみれば、警備を1社だけにしていると、その会社が不正をすれば後は“底なし沼”の状態に陥ってしまう可能性があります。
●経費削減の果てに
どの企業にとっても、経費の削減はとても大きな課題です。多くの企業が削減対象にしているのは「社内清掃」でしょう。以前は毎日していたものがだんだんと減り、最近では週1回というケースが目立つようになりました。週1回の場合は、作業効率の面から土曜日に行われるのが一般的です。そうなると、社内には従業員がほとんどいません。清掃作業員の中に悪意を持った人間がいれば、どうなるでしょうか。さまざまな悪事ができてしまい、その結果、設計図や特許情報などがそのまま盗まれた企業が幾つもあります。
経費削減は必要な取り組みですが、経営者としてはセキュリティのリスクを正しく理解した上で、現状が本当に良いものであるかどうかを再考していただきたいと思います。そのポイントを挙げます。
(1)すぐに複数の警備会社を採用せよというのは早計。かなりのコストが発生します。費用の面から1社だけというのはやむを得ないですが、悪意を持つ警備員が犯行に及ぼうとしてもできない体制にすべきでしょう。申し入れの段階で警備体制のチェックを含めて確認します。
(2)監視カメラの稼働や撮影方向を変更して、さまざまな角度から録画できるようにします。警備員による巡回と、社員が監視カメラの映像を確認する「ダブルチェック」、もしくはそれに近い体制を検討すべきです(経費削減で監視カメラを稼働させていないケースも散見されます)。
(3)一部の研究所では、清掃担当者であっても身元確認を行った正規の従業員だけに許可しているところがあります。実際にそのようにしている企業が増えつつあります。
(4)従業員が必ず外部関係者に付き添うというのも意外と効果的であり、安価な方法です。
(5)社内にどのような立場の外部関係者が出入りしているかを再確認しましょう。会社にどのようなセキュリティの脆弱性が存在するか、また、その対策を専門家と検討することをお勧めします